近畿大学医学部附属病院 免疫学教室

メッセージMessage

腫瘍による免疫抑制因子は個々の患者毎に異なり、複数の因子が複雑に関与していることから、最適ながん免疫治療を提供するためには、時間・空間的にダイナミックな免疫応答を患者毎に評価することが重要です。患者毎のがん免疫応答を総合的に評価し、最適な治療の組み合わせを選択することを可能にするための研究が求められています。本講座は、これからのがん免疫治療を成功に導くポイントである「個別化」と「複合化」に対応するがん免疫治療の開発を目的としています。

More

当教室の研究内容

免疫学教室では、がんに対する免疫応答を
分子レベル・細胞レベル・個体レベルで詳細に解析し、
ダイナミックな腫瘍免疫を理解し、免疫制御に基づく
がん免疫治療法を開発することを目的に研究しています。
がん免疫治療のバイオマーカーの
探索、および免疫制御技術の開発を行なっています。

基本方針
Detail
研究内容の詳細
  • 1.抗腫瘍免疫応答の解析
    Detail
  • 2.ネオアンチゲン
    Detail
共同研究
ネットワーク
Detail

ニュースNews

  • ニュース2025/8/4腹膜転移型胃がんに治療効果を示すmRNAワクチンを開発

    東京大学先端科学技術研究センター(東京都目黒区)、東京科学大学総合研究院(東京都千代田区)、大阪大学感染症総合教育研究拠点(大阪府吹田市)、東北大学大学院薬学研究科(宮城県仙台市)、星薬科大学(東京都品川区)らと共同で、mRNA技術を応用した新しいワクチンを開発し、既存薬である免疫チェックポイント阻害剤と併用してマウスに投与することで、腹膜への転移を伴う胃がんに対して強力な治療効果を示すことを世界で初めて明らかにしました。今後、ヒトへの臨床応用が進み、mRNA技術による個別化がんワクチンの開発につながれば、胃がんだけでなく難治性がんに対する治療の可能性を大きく広げると期待されます。 本件に関する論文が、令和7年(2025年)7月31日(木)に、一般社団法人日本胃癌学会が発行する“Gastric Cacer(ガストリック キャンサー)”に掲載されました。下の画像をクリックしてみてください。英文プレスリリースのサイトにつながります。一番大切なことが英文記事には書いてもらえています。However, there are some challenges that remain. Prof. Kakimi states that “Although we observed that these vaccines had remarkable therapeutic efficacy, the greatest challenge lies in identifying the true neoAgs that are recognized and attacked by T cells in vivo.” Researchers worldwide, including Prof. Kakimi, are currently striving to improve the process of predicting and identifying these neoantigens. Nevertheless, multiple pharmaceutical companies are betting on the therapeutic potential of these vaccines—for instance, Moderna and BioNTech are conducting clinical trials that utilize various neoAg-based mRNA vaccines in combination with immune checkpoint inhibitors.

  • ニュース2025/7/23口腔扁平上皮癌(OSCC)のがん免疫に関する論文を発表しました

    東大口腔外科 熊谷先生、鶴見大学歯学部 濱田先生、関東労災病院 堀江先生、京都府立医大 辻川先生らと共に口腔扁平上皮癌(OSCC)のがん免疫に関する論文を発表しました。 口腔扁平上皮癌(OSCC)患者における予後予測バイオマーカーとしてのリンパ節(LN)の免疫プロファイリングの重要性を探っています。T細胞受容体(TCR)レパートリーの多様性と免疫関連遺伝子の発現を腫瘍とLNの両方で分析し、特にリンパ節転移のある患者の転帰を層別化する上で、腫瘍自体の分析よりもLNの免疫状態が優れた予測値を持つことを発見しました。研究結果は、LNにおけるTCR多様性の低下が好ましい予後と関連している可能性を示唆しており、再発患者と非再発患者をLNの免疫シグネチャによって区別できることを示しています。この知見は、術後のリスク層別化と個別化された治療戦略に役立つ可能性を秘めています。貴重な手術検体を提供してくださった口腔外科の先生方ともう一つ論文を準備しています。熊谷先生、頑張ってまとめてください!

  • ニュース2025/7/7脳腫瘍のがん免疫に関する論文を発表しました。

    東大の脳外科から、大学院生としてがん免疫研究に参加してくれた菊池さんの論文を発表することができました。IDH変異ステータスに基づいて神経膠腫の免疫学的微小環境を包括的に分析しています。この研究では、RNAシーケンスデータと腫瘍浸潤リンパ球(TIL)培養を用いて、IDH野生型神経膠腫が、IDH変異型よりも免疫細胞浸潤が多いにもかかわらず、抑制性の免疫プロファイルを示すことを明らかにしています。これは、制御性T細胞やM2マクロファージが豊富であり、疲弊したT細胞が存在するためです。この研究は、個別化された多標的免疫療法の必要性を強調し、神経膠腫における腫瘍反応性TILの存在と機能的抑制を関連付けています。

View All

ページの
先頭へ